八重山毎日新聞社は、沖縄本島から南東へおよそ400キロに位置する石垣島に本社を置く日本最南端の新聞社だ。南国の新聞社には、普段購読している全国紙と、どのような違いがあるのだろうか。
また限られた紙面ゆえ、十分な量のニュースを掲載できない点、その限定されたスペースにどのようなニュースを掲載するかといった点も問題となる。八重山毎日新聞では、県外のニュースに割けるのは多くても2面程度で、1面しか充てられない日も少なくない。そして限られた全国ニュースのスペースには「やわらかい」ニュースが載ることが多い。衆議院総選挙期間中にあっても、「長野県松本市、出荷前のブドウにカブトムシが群がる」、「大阪市南海電鉄難波駅にドライミストシャワー設置」といった、八重山諸島との関わりも薄く、ニュースバリューにも疑問が付くものが掲載された。こうしたニュースを掲載する意図について、編集局部長の黒島安隆さんは、「うちの新聞は降版時間もプロ野球終了時間と早い上、朝刊のみの発行。ニュースの速報性ではテレビには絶対にかなわない。そのため島民は大きなニュースのほとんどをテレビで知る。だから新聞にはテレビでは扱わないニュースを掲載することで、読者に楽しんでもらいたいと考えている」と話した。

一方で離島の新聞社が全国紙と共通して抱える問題も存在する。広告収入の減少による経営難だ。八重山毎日新聞を一読すると、地元の宿泊施設や飲食店などの広告が目につく。地元企業にとどまらず、旅行会社の広告なども目立ち、広告営業に苦労している印象は受けない。しかし新聞社社長の仲間清隆さんは、「昨年の金融危機以後、本土からの期間工の募集広告などが皆無になった」と話す。また若い世代が新聞を読まないこともあり、購読者数が伸びないという問題も他の新聞社と共通する課題だ。
八重山毎日新聞社では今後、新しい輪転機を導入してカラー刷りの面を増やすなど、部数増を目指してテコ入れを図るつもりだという。また通信社に頼らず、他の郷土紙とニュースを提供しあう関係の構築を目指すなど、従来とは異なる経営スタイルの模索も続いている。
南の島の新聞社、八重山毎日新聞社は全国紙と比べれば本当に小さな新聞社だ。しかしそれは規模の違いだけであって、抱える問題は編集と経営の双方とも全国紙と共通する点が多い。言うならば八重山毎日新聞は日本の新聞業界の縮図だ。衰退産業と言われて久しい新聞業界の行く末を考える上では、全国紙だけでなく、地域社会に根差した郷土紙に目を向けることも重要になってくるだろう。
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【取材・執筆・撮影:宮前観】