「Spork!」記者による全18閣僚記者会見への参加要請に、各省庁・記者クラブは様々な反応を見せた。「大臣記者会見の開放」と単純には言えない実態が明らかになった。
●小沢鋭仁・環境大臣@環境省
会見を主催する、環境省記者クラブ(環境問題研究会)は、「報道機関の役割を果たすか」を参加可否の判断基準としているが、担当幹事社によって判断が分かれた。
「オブザーバーとしての参加なら認める」(2009年12月の幹事社、朝日新聞・山口記者)という回答もある一方で、今年1月の幹事社である共同通信・桜井記者は「『Spork!』は報道機関としての役割を果たさない」と判断し、結論として参加を拒んだ。参加を拒んだ理由について、桜井記者は「基本的にジャーナリストを排除することはおかしいが、セキュリティの観点から、報道機関としての役割を果たしているかが判断の基準となる。『Spork!』を学校側に確認したところ、報道機関ではなく学生の発表の場という回答を得た。連絡先も書かれておらず、公益性が高いメディアではない」と話した。
この指摘に対し、「Spork!」編集長で、早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコースを担当する瀬川至朗教授は「『Spork!』が学生の発表の場であることは確かだが、同時に『報道目的』のウェブ・マガジンとして機能している。今回の記事もその一環として掲載している」と話した。
【伊藤恵梨】
●北澤俊美・防衛大臣@防衛省
防衛大臣の記者会見を主催する防衛省記者クラブ「防衛記者会」は、会員でない外部の記者への会見の開放について、2010年1月25日の時点では「クラブ内で協議中」としている。「Spork!」記者の記者会見への参加要請に対しては、「協議の結論が出ていない」として拒否した。この協議では、「会見場の狭さ」が問題点として挙がっているという。
09年12月の防衛記者会の幹事社は、「会見場には外部の記者を入れるスペースが十分にない」、「外部からの参加者がどのくらい集まるかについても予想がつかない」と話した。
省の施設が問題になっていることについて、防衛省大臣官房広報課報道室の小川清美氏は、「省と防衛記者会の関係に関することなので、コメントできない」とした。
【岡田圭司】
●平野博文・内閣官房長官@内閣官房
官房長官の記者会見を担当する記者クラブ(内閣記者会)は、2009年9月16日の全閣僚就任会見において「例外的」に雑誌協会加盟社など15社の参加を認めた一方、それ以降の長官会見で、記者クラブ外からの参加を認めていない。今年2月の記者クラブ幹事社である日本テレビ記者が明らかにした。
記者クラブは会見への「Spork!」記者の参加要請に対し、クラブ会員でないことを理由に拒否した。総理官邸報道室の笹川氏も同じ理由で参加を認めなかった。また会見の主催については記者クラブは「クラブ主催」と回答した一方、笹川氏は「はっきりしていない。クラブと協力しながらやっているのが現状」と答えた。
主催が定かでないのに参加を拒否した根拠として、笹川氏は「私たちに官邸の建物を管理する権限があるので」と述べた。また記者クラブ外からの参加について、「民主党政権になってから検討はしている」と答えたが、詳細については明らかにしなかった。
【松村大行】
●中井洽・国家公安委員会委員長@警察庁
政権交代を機に、記者クラブに属さない記者が国家公安委員長の記者会見に参加する際の基準を、警察庁が検討していることが分かった。広報室の長谷川係長が、「Spork!」記者による会見への参加要請に対して明らかにした。それについて、警察庁記者クラブの今年1月の幹事社、共同通信・粟倉記者は、「(クラブとして)聞いていないしタッチしていない」と答え、警察庁での検討状況に関わらず、「クラブとして、記者ならば会見に受け入れる」という考えを示した。
会見に関する明確な規約がないなか、主催をめぐって警察庁と記者クラブの見解が分かれた。長谷川係長は「大臣が主催している」と主張、粟倉記者は「当局が発表している場に行くのではない。どこまでいっても譲れない」として主催はクラブであると答えた。
長谷川係長はクラブ員以外の記者を警察庁の庁舎内に入れることについて、「不用意に部外者を入れると捜査情報が流出しかねない」という懸念があると答えた。また粟倉記者は会見参加について、会見場を管理する警察庁に参加者自身で入庁の許可で得ることが前提条件であるとした。
【松村大行】
●亀井静香・内閣府特命担当大臣@金融庁
大臣会見への参加申し込み(09年11月)に対し、広報室は記者を"プロのジャーナリスト"ではないと判断し、断った。金融庁は記者クラブ加盟社以外でも会見に参加し大臣に質問できるよう、大臣主催による会見も開催。取材を広く受ける姿勢を示している反面、権力の監視役であるはずのジャーナリストを、監視されるべき権力側が指名するという実態が浮き彫りになった。
広報室担当者によれば、"プロのジャーナリスト"とは明確な基準はないが、職業として報道に携わる人を指すと考えているという。会見への参加希望があればその都度、広報室で適当か議論し回答を出すとした。
【前岡愛】