「Spork!」記者による全18閣僚記者会見への参加要請に、各省庁・記者クラブは様々な反応を見せた。「大臣記者会見の開放」と単純には言えない実態が明らかになった。
●川端達夫・文部科学大臣@文部科学省
大臣会見を主催する文科省記者クラブ(文部科学記者会)は、文科省広報室が会見の映像をインターネット動画サイト「YouTube」に投稿していることを理由に「Spork!」の参加要請を認めなかった。質問しない前提での参加も「『YouTube』があるのだから来る意味がない」として断った。
これまで、クラブには雑誌やインターネットメディアからの会見参加要請が相次いだが、現在、会見参加要請の問い合わせは「今年に入ってから減少している」と、2009年1月に記者クラブ幹事社を務めた日本工業新聞の原田記者は明かし、「ブームは去った」との見方を示している。
一方、文科省広報室は大臣会見のあり方について、主導権はクラブ側にあるとした上で「『今後広く開放の方向へ』という提案をした」と話した。
●長妻昭・厚生労働大臣@厚生労働省
大臣会見を主催する厚労省記者クラブ(厚生労働記者会)は、会見中質問しないことを条件に「Spork!」の参加を認めた。2009年12月に記者クラブ幹事社を務めた毎日新聞社の佐藤丈一記者によると、「以前から専門誌やネットメディアが相乗りしている現状があり、依頼があれば質問しないことを条件に受け入れている」と述べ、すでに記者クラブ加盟社以外にも会見を開放していることがわかった。この背景には「厚労省が取り扱う分野が専門的で多岐に渡るという特殊性がある」という。
当初記者クラブは「会員以外の出席は認めない」という運営上の規約を理由に承認しなかったが、加盟社で協議した結果、以前から受け入れているネットメディアと同様だと判断され、2010年1月19日の大臣会見への参加が許された。
●赤松広隆・農林水産大臣@農林水産省
農水大臣の会見を主催する記者クラブ(農水クラブ)の今年1月の幹事社を務めた日本農業新聞川島記者は「定期的に記事を書いているか」「プロであるかどうか」が参加の判断基準になると答え、「プロ」の条件として「法人の従業員であること」という認識を示したうえで「Spork!」記者の参加を断った。一方実際に門戸を広げた例として、捕鯨問題の取材を申請したAP通信の参加を認めた事実を明かした。
クラブに記者会見の参加に関する規定はないが、会員を新聞社やテレビ局等に限定しているクラブ規約と、会見をクラブが主催している事実を照らし合わせて判断したと答えた。
政権交代前から会見参加の要請があればその都度検討していたが、政権交代を機に要請が増えているという。
一方、農水省報道室企画調整班の酒井氏 は質問ができないオブザーバー扱いでの参加という前提のもと「(幹事社が了承すれば)お断りする理由がない」と答えた。
【松村大行】
●直嶋正行・経済産業大臣@経済産業省
経済産業大臣の記者会見は、主催者である経済産業省記者クラブが「会見運営の負担が増す恐れから、参加を大手メディアに限定する」との方針をとっており、「Spork!」記者の参加はかなわなかった。
2009年12月に同クラブの幹事社を務めた朝日新聞の星野眞三雄記者は「Spork!」の取材について「『報道の目的』にあたらないため、会見に参加いただくことはできない」と述べた上で、「『報道の目的』に当たる取材とは、広く公に対して報道し,影響力をもつマスメディアの取材をいう」との基準を示した。この基準を定めた理由については「ブログ記事などまで『報道の目的』にあたると判断すると会見に参加できる人の範囲が広がりすぎて、会見の運営に支障が出る恐れがあるため」と説明した。
なお法務省の記者クラブは「報道の目的」に当たる取材を報道の対価として収入を得る者の取材と解釈している。この見解について意見を求めると、星野記者は「収入を判断基準とすると広告費を得ているブロガーやミニコミ誌の記者までが会見に参加できることになり、やはり会見の運営に支障が出る」と話した。
【宮前観】
●前原誠司・国土交通大臣@国土交通省
国土交通記者会が主催する大臣会見へは、「質問をしない」、「参加者は各社1名」、「会見室受付への名刺の提出」の3点を条件に2009年12月、参加が認められた。しかし実際の会見は挙手をして大臣から指名を受けた記者であれば誰でも質問が可能な形式となっていた。参加人数の確認や名刺の提出を求められることもなかった。
会見への参加は、会見参加申込書を国土交通記者会へ提出し、会の了承を得ることで可能になる。申込書は会見日時、参加希望社名、記者氏名、電話番号などの所定事項を記入する形式。3つの参加条件も申込書に記されている。
【宮前観】