建国60周年を迎え、右肩上がりに発展を続ける中国。その変化の速さ・大きさには日々驚かされる。しかしその一方で、変わらないものもある。激しい変化に隠れて私たちには見えてこないのだ。中国の最近30年の歴史を交えながら、今後中国が成長するためのカギは何か、考えてみることにしよう。
次の【図3】は、2000年代に入って登場してきた新しい政治・経済アクター、私営企業家についてのデータである。このデータでは、2007年、私営企業は合計520万戸、そこに雇用される従業員は6000万人、ということになる。89年には9万戸、従業員140万人しかいなかったのだから、驚くべき成長である。調査では彼ら「レッド・キャピタリスト」の三分の一は党員で、党の傘の下にいる。 以上をみると、中国が激変していることが否応なく分かる。改革開放の30年は、日本にひきつけて考えれば、明治維新から1950年代に到る百年に相当すると言えないこともない。 だが、問題はちっとも変わらない中国がある、という事実なのだ。
【図4】を見てほしい。建国60年で変わらないものは何だろう。 一つは共産党-国家-軍の三位一体体制は少しも変わっていない。日本では55年体制は崩壊したが、中国の55年体制はまったく安泰なのだ。また、土地の公有制度が50年代半ばに確定して以来、これも60年近く変わっていない。農民や企業がもっているのは、土地の使用権であって、所有権ではないのである。選挙法も1979年に新選挙法ができてから30年間変わっていない。肝心なのは、都市住民と農村住民の投票権格差が制度化されている点だ。79年までは8対1、80年代からは4対1となった。
農村と都市の二元的戸籍制度も変わらない代表だ。統制経済と雇用の計画的分配というなかで1950年代後半から、都市と農村はさまざまに隔絶された。農民が都市住民になれるのは、一つは大学進学、もう一つは軍への入隊だった。今、都市と農村を浮遊する1億5千万人の農民工がいるという。彼らはほとんど都市で働き、暮らしているのに、都市住民の身分が与えられない。農民は二等市民、農民工は三等市民だと蔑まれる。
中国は手に負えなくなった。「乱反射する中国」に研究者は目くらましにあっている。なんとか、中国研究の新手法、新パラダイムを開発したい、と日々念じている。
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