2005年愛知万博の三井・東芝館で上映されたフルCG映画『グランオデッセイ』は、エンターテイメントの新しい形として多くの人々の間で好評を博した。この映画を支えた技術、「フューチャーキャストシステム」を開発した早稲田大学理工学術院応用物理学科の森島繁生教授に話を聞いた田中・吉永がそれぞれの視点から報告する。
森島教授の目下の目標は、フーチャーキャストシステムのさらなる改良だ。
『グランオデッセイ』で得た知見の中には、「自分の顔が見つけにくい」といった問題点もあった。俗に言う"薄い顔"の人は、CG化した時に特徴が出にくいからだ。そこで、より見分けやすくするために、顔だけではなく髪や服装なども再現できるようにしたいそうだ。
さらに、視点を変更可能にしたり、筒状のスクリーンに映像を映して、音と映像を一致させることで「音場」を創り出すなど、より観客が映画の世界に没入できるようなシステムを目指している。
一方で、森島教授は、「3DCGで手描きアニメを再現する」手法の開発にも取り組んでいる。
手描きアニメーションは、CGアニメに比べてコマ数が少ないため、動きがたどたどしく見える。しかし、私たちはそれに見慣れているので、ただ単純に手書き風のCGアニメを作っただけでは、動きが滑らか過ぎて違和感がある。そこで、CGアニメのコマ数を減らすことで手描きアニメに近づけることに成功している。
手描きアニメ作成現場での深刻な人手不足を受けての研究であるが、興味深いのは、それまでのリアリティを追求する研究とは、発想がまるで逆である点だ。
もっとも、この研究も、教授にとっては他の研究と変わらないものなのかもしれない。リアリティはただの方法に過ぎず、情報量の少ない良さもまた、人々の心を動かすことが出来る。どちらであっても、面白くて、感動できることが大事なのだ
映像技術に、「リアル」でも「フィクション」でもない、「感動」という極めて人間的な目標を追い続ける森島教授。自らの研究を語るその姿は、非常に楽しそうに見えた。
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【吉永大祐】
※この記事は、07年のMAJESTy講義「科学コミュニケーション実習1A」において、横山広美先生の指導のもとに作成しました。