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あなたも映画の主人公に〜森島研究室訪問

あなたも映画の主人公に〜森島研究室訪問

 2005年愛知万博の三井・東芝館で上映されたフルCG映画『グランオデッセイ』は、エンターテイメントの新しい形として多くの人々の間で好評を博した。この映画を支えた技術、「フューチャーキャストシステム」を開発した早稲田大学理工学術院応用物理学科の森島繁生教授に話を聞いた田中・吉永がそれぞれの視点から報告する。

田中亮/吉永大祐
8.21.2007
多彩な研究内容

「研究をやっている人が楽しんでいないと、他の人を楽しませることは出来ない」


 そう語る森島教授の研究室では、4つの研究グループに分かれて研究が行なわれている。その内容は多様だ。


「顔」を研究するグループでは、顔の形や表情変化をCGで再現する研究を行なっている。フューチャーキャストシステムでは「ブレンドシェイプアニメーション」という、32種類の表情の基本単位を顔CGと合成することで表情変化を再現する手法が使用されたが、現在は表情筋の動きをモデル化することで、より簡単かつ自然な表情変化の再現を実現する研究が進められている。そのために、本物の人体の解剖も行なっているという。


「CG」グループでは、自動車の車体形状のデザインを感性の面から補助するツールや、セルアニメーション独特の陰影付けやキャラクターの髪の動きを3Dポリゴンで再現するツールの開発、また、モーションキャプチャによる「モノの動きのアーカイビング」によって、リアルな動きをより簡単にCGで再現可能にする研究などが行なわれている。いずれの研究もCGデザイナーにとって非常に実用性の高いものであり、論文だけに終わらない応用性を重視する森島教授の姿勢が特に色濃く出た研究グループだ。


 研究領域は映像だけに留まらない。「音」グループでは、コンピューターにより人間らしい声と話し方をさせる研究を行なっている。自然な話し方が出来るキャラクターが実現できれば、親しみやすい新たなインタフェースとしての応用が期待できる。


 上に挙げた3グループは、あるグループに属する人やモノに共通の特徴を抜き出して再現しようとする研究分野だが、逆に個体の特徴を突き詰めて測定しようという方向性もある。それが森島研究室の4つ目の研究グループ、「認証」グループの行なっている「顔を用いた個人認証」だ。個人認証に用いられる生体情報には指紋から虹彩まで様々あるが、顔情報から個人を特定するシステムは防犯効果が高いという。実現すれば、まさに「顔パス」で開錠できる。


 このように多岐に富んだ内容となっている森島研究室の研究だが、そのどれもが「個性とは何か?」という問いを追求している点では共通である。さらに、学生ひとりひとりがひとつのテーマを持って研究していると言うから、まさに"『個性』でもって『個性』を研究する"研究室、と言えるのではないだろうか。