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骨髄移植のカギはカエルが握っているはずだ ―加藤研究室 研究紹介―

骨髄移植のカギはカエルが握っているはずだ ―加藤研究室 研究紹介―

 ある日、「あなたは『白血病』に侵されています」と診断されたらどう思うだろうか?「カンニングの中島さんや本田美奈子さんみたいな運命をたどるかもしれない」という思いが脳裏をかすめるかもしれない。

 医療の発達した今日でも、血液のガン、白血病はときに容赦なく若い命を奪い去ってしまう。骨髄移植は画期的な白血病の治療法ではあるが、成功率 100%とはいえない。

 まだまだ発展途上の骨髄移植。「カギはカエルが握っているはず」と昼夜を問わず、研究に打ち込む早稲田大学教育学部・理学科生物学専修 加藤尚志(かとう・たかし)教授にお話を伺った。

執筆・撮影:大石かおり
2009.8.15
血液っていったいどうやって造っているの?

 白血病は血液の細胞を造るシステムが暴走してしまう病気である。赤血球や白血球・血小板という血液の細胞は私たちの体を作る全細胞のおよそ3分の1を占める。血液の病が命を脅かすのもうなずける。ではいったい、血液の細胞を造るシステムとはどうなっているのだろうか?

 実は、すべての血液の細胞は「造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)」と呼ばれる一種類の細胞から造り分けられる。あるタンパク質が「赤血球が足りないから作りなさい」という指令を肝細胞に出したとしよう。すると、指令を受けた幹細胞は赤血球になる。血小板を作る指令を受ければ別ルートをたどってやがて血小板になる。このようにして、血液の細胞はたった一種類の造血の幹細胞から日々造られている。(図1)


 加藤教授が得意とするのは、幹細胞から血液の細胞を造りわける複雑なしくみをひもといていく研究。血小板を作る指令を出すトロンボポイエチンというタンパク質のアミノ酸の並び順を正確に突き止めたのが加藤教授らのグループ。この成果は世界から羨望のまなざしで注目を浴びた。


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図1:造血幹細胞の細胞分裂の仕組み(クリックすると拡大します)


骨髄移植ってどういう治療?

 白血病の治療として知られる骨髄移植は、2段階に分かれる。まずは血液の細胞を造血の幹細胞を除いて全て壊してしまう。放射線を全身に放射することで、暴走してしまった血液をめぐるシステム全体をリセットできる。次に、正常な造血の幹細胞をドナーからもらって入れる。正常な幹細胞はたった1個入れば良い。すると、造血の幹細胞はすばらしいことに、血液の正常なシステムをゼロから作り直してくれる。このため、骨髄移植を受けた人は血液型もドナーの血液型に変わってしまう。

 では、この治療法が100%成功しないのはなぜだろうか?造血の幹細胞に出す指令を思い通りに制御するにはまだまだ未知の領域があるからであり、それはまさに、加藤教授が得意とする領域である。しかも、加藤教授はヒトではなく、カエルにその解があるはずだと言う。


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図2:加藤教授が研究対象とするアフリカツメガエル(Xenopus laevis)