「日本の政治報道はレベルが低い」、と金平さんは指摘する。日本の政治報道のレベルは本当に低いのか。またそのレベルの低さとは一体、何に起因すると考えられているのだろうか。
田原 ただねぇ。金平さんに敢えて聞きたい。
政治家が、公に新聞記者やテレビの記者なんかに喋っていることは本音ではない。国民に聞かせるための建前にすぎない話だ、本音はそんな所では絶対に喋らない、と言う意見があります。 でも金平さん達は本音を聞くために記者が政治家に張り付く番記者制度は邪道だ、と言っているわけですが。
金平 いや、そういうことを言ってるんじゃないですよ(笑)
田原 でも飯食うのは邪道だって言うんでしょ。(笑)
金平 いやいや、そんなことないですよ。政治家に食い込むということと、政治家と一体化するということは違うから。つまり政治家というのは、権力とか、そういうものを持っているので、そこと自分との距離というものをなくしてしまうことが危険である、と言っているんです。
例えば、アメリカで言うと、ボブ・ウッドワードというワシントンポスト紙の大記者がいます。彼は悪名高いブッシュ政権の中に入り込んで、いろんなものを取材しました。それに対して、アクセス・ジャーナリストなどと悪口を言う人もいますけど、彼のやった仕事というのは、やはり歴史に残るものだと思うんですよ。
中に食い込むこと、というのは僕らの本業から言って、当たり前のことです。政治家と一体化することがよくない。しかしマスメディアの人間、特に政治部の人間というのは、政治家と一体化することによって、自分を見失ってしまうことがないだろうか、と考えたから僕は言っているんです。
田原 分かった。田勢さん、そこは一言あると思うけれども。

田勢 いやいや。自分を見失っている人は半分以上いると思いますよね。不思議なことに、筑紫さんは三木番だったんですよ。三木武夫さんの派閥だったんですよね。
田原 一番ないわ、それは。
田勢 ええ。三木番の人たちっていうのは、あまり派閥として「政治は数だ、数は力だ、力は金だ」、という考え方の人たちではなかったので。
田原 三木さん、何も言わない人だからね。
田勢 だから論説委員になった人は、三木番の人が多いんですね。
田原 はぁー。
田勢 ええ。議会制民主主義みたいに朝からずーっと政治家の話を聞いているので。やっぱり田中派担当の人たちというのは、それぞれの新聞社やテレビ局で、割に腕力があるエリートが多かったので、その後、電波担当取締役とか、そういうのになっている人が多いんじゃないですかねぇ。
田原 利権の部門に行くわけだ。