「日本の政治報道はレベルが低い」、と金平さんは指摘する。日本の政治報道のレベルは本当に低いのか。またそのレベルの低さとは一体、何に起因すると考えられているのだろうか。
田原 野村さんは、そういうことをしていないと思いますが、ちょっと古い時代の話になります。
田中角栄さんと福田赳夫さんが闘っていた頃。その頃、朝日を含め、あらゆる新聞記者たちが一番の目標としていたことは、二人と「塩鮭を食べること」だったんです。実は田中角栄も福田赳夫も、昼間、仕事を終えると、料亭をはしごするんですよね。そして二人とも料亭をはしごした後、家にかえって必ずお茶漬けで塩鮭を食べるんです。 その塩鮭を一緒に食べられる新聞記者が一番、この二人に食い込んでいる記者なんです。名前を出してもいいんだけど、名前は出しません。
その次に、ちょっと食い込みが足りない記者は、塩鮭を食べている田中角栄や、福田赳夫を見ながら、応接間でワインを飲んでいた。さらに食い込みが足りない記者は玄関にいる、と。 で、野村さんはどの辺にいたんですか?(会場 笑)
野村 私は残念ながら大平派担当だったので角福戦争などは、やや脇から眺めていた、という程度ですね。(笑い)
田原 大平派は公家政治だ。何にも政治なんかできないんだ。こういう風に言われていましたよね。

野村 まぁ、でも、最近の字の読めない総理大臣なんかを見ていますとね、大平さんや宮沢さんなど私が担当した派閥の領袖は非常に知性豊かでしたよ。大平さんは非常に読書が好きですね。
田原 (読書を)やってた。宮沢さんもやってた。
野村 ええ。
田原 田勢さんはそういう取材はしたんですか?塩鮭を食べたり、応接間にいたり。
田勢 私は悪名高い派閥記者の一人だった時期がありますね。私も大平さんが担当でしたけれども、かなり奥の院まで入った一人だと思います。寝室で彼が寝入るのを見届けて帰る、と。そういう時期がありました。(会場 笑い)