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こだわりの店で再出発「早稲田に住んでもうけもん」

こだわりの店で再出発「早稲田に住んでもうけもん」

 育った街に恩返しをしたい。そんな思いを込めた「こだわり」の店が、新宿区西早稲田の大隈通り商店街にある。店長の安井浩和さん(30)=写真=が1年余り前、マージャン屋の店舗を改装して始めた。産地を厳選した生鮮品を並べ、障害者の就労支援にも一役買っている。

取材・撮影・執筆:高橋嵩
2.9.2009

 店の前身は、早稲田の街で長年親しまれたスーパー「稲毛屋」。安井さんは父親から店舗を引き継ぎ、約10年、経営を任された。
 店の老朽化が進み、一昨年の春、廃業を覚悟した時だった。高齢の女性から聞いた一言に、心を突き動かされた。
 「お店、やめちゃうと寂しくなるねえ。あんた、覚えているかい。私はあんたが小さいとき、オムツ、替えてあげたんだよ」
 赤ん坊だった頃、レジ打ちの母親が手を離せないときは、顔なじみの客たちがいつも助けてくれた。
「商売を続け、自分を育ててくれた早稲田の街に恩返しをしたい」。そんな思いがこみ上げた。
 栃木・茂木町のサトイモ、シイタケ、東京・檜原村のマイタケ、豆腐・・・。店内には産地が明記された商品が並ぶ。自分で産地に出向き、生産者と直接話をしながら選んだ。「自分の舌」で試し、満足できた商品しか売らない。
 NPO法人と連携し、障害者の就労支援にも取り組む。障害者が焼いたパンを販売し、レジ打ちや値札張り、清掃などの就労実習を受け入れている。
 店の一角には、大型の机といすを置き、地元住民らに開放した。塾帰りの子どもが、仕事を終えて帰ってきた母親と待ち合わせをする。そんな場所として使われている。
 コンビニエンスストアが全盛の時代、商店街にはシャッターを下ろしたままの店も目立つ。安井さんは「1軒でも元気な店があると、きっと街全体が活気を取り戻すはず。早稲田に住んでもうけもん。そう思えるような街にしたい」と夢を語っている。

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※この記事は、08年後期のJ-School講義「ニューズルームH」において、安永拓史先生の指導のもとに作成しました。