政治家とはどんな人間なのだろう。ふつうの暮らしを営む私たちには、なかなか想像がつかない。
J-Schoolの院生3人がおこなった、衆議院議員・大島敦さんへのインタビューをそれぞれお届けする。
Q 政治家としてどんなことを心がけていますか。
「政治家は、自分の方向とか意思を語ることも必要ですが、世の中がどうなっているのかという現状認識をしっかり持つことが大切です。今の国会議員は与党も野党も恵まれた人たちが多い集団であることは確か。一方、世の中には努力しても報われない人たちがたくさんいる。政治家に必要なのは、そういう立場を理解することだと思う」
Q 世の中には報われない人たちの立場を理解するために、どうするのですか。
「出来るだけ多くの人に会って、話を聞くことです。外を歩いている人は、健康な人が多い。でも、ドアを開けた向こう側には、介護を受けている人、障害を持っている人、あるいは引きこもっている人がいます。こうしたドアの向こう側の現実を知ることが大事。その上で政策を考えていくことが重要です。ぼくはインタビューと呼んでいます」
Q インタビューを続けていて気づいたことは何ですか。
「自分で作った政治活動のレポートを各戸に配りながら街頭演説して回った時、ある女性が声をかけてきました。その人は離婚して不安定な非正規雇用で仕事をしながら子育てをしていました。児童手当も非常に低い。そういう訴えを受けました。こうした問題は街を歩かないとわからない。インタビューは、ビジネスにとってのマーケティングです。現状を認識することという点で、同じです」
Q そもそも、インタビューを思いついたきっかけは何だったのですか。
「議員になる前、ある生命保険会社のセールスマンをしていました。飛び込みで、一社一社ドアをノックして、社長さんに会いたいといって回ります。モノやサービスを売るのは、相手がどんな悩みを持っているかなど、人の本音を聞いて初めて可能になることだと思いました。昔、田中角栄(元首相)が、政治家志望の人に言っていたのが、『戸別訪問3万軒、辻説法5万回、それをしてからもう一度来い』ということだそうです。こうやって世の中を知れということでしょう」
Q サラリーマン生活と政治家の暮らしの、一番の違いは何ですか。
「今は休みがない。国会議員は一年中、仕事から解放されることがありません。会社勤めなら、定年が来ると厚生年金や退職金がありますが、議員にはありません。老後は不安定です。病気をしたら、きびしい人生になると思います。お金も貯まらない。ぼくは政治資金集めをしません。やれば誰かにしばられるような気がするので。だから、サラリーマン時代に貯めた貯金もほとんどなくなったけど、好きな仕事だから続けられています」
【早見貞之】
普段、大島氏は議員バッジをあまりつけないという。
理由は、「なくしてしまいそうだから」。
私たちの発想と何一つ変わらない。
ただ、本心はこうだろう。
「政治家の名札をつけるまでもなく、自分は政治家である」
(了)
大島敦(おおしま・あつし)
1956年埼玉県生まれ。早稲田大学法学部卒。日本鋼管、ソニー生命保険を経て、2000年の総選挙で民主党の候補者公募に合格し立候補、当選。現在当選3回。
※この記事は、08年前期のJ-School講義「ニューズルームE」において、刀祢館正明先生の指導のもとに作成しました。