早稲田大学ジャーナリズム大学院のウェブマガジン

Spork!  WASEDA Graduate School of Journalism WEB Magazine

Topics

変わる山谷/外国人旅行者が増え、沈滞気味の街に活気

変わる山谷/外国人旅行者が増え、沈滞気味の街に活気

 日雇い労働者の街だった東京・山谷が変わろうとしている。手頃な料金の簡易宿泊所に、「口コミ」で外国人旅行者(写真)が集まり、外国人客を当てこんだ宿泊施設も出てきた。労働者の高齢化で沈滞気味だった街に活気を取り戻そうと、地元住民らもアイデアを練っている。

取材・執筆・撮影:青山 幹史
3.15.2009

 山谷の簡易宿泊所は1泊が千円から3千年程度。料金の安さと、世界有数の電気街・秋葉原へのアクセスの良さが人気の理由だ。約170軒が加盟する「城北旅館組合」は、山谷に宿泊する外国人は1日平均約200人にのぼるとみている。

 同組合広報担当の帰山哲夫さんは「外国人旅行者が急増したのは02年のサッカーW杯日韓大会から。来日した外国人同士の口コミで広り、試合があるごとに利用者が増えていった」と、当時を振り返る。

 外国人の急増に目をつけ、低料金を売り物にした宿泊施設も相次いで生まれている。

 その一つ、「東京バックパッカーズ」は05年にオープンした。

 部屋はドミトリー(相部屋)タイプ。白い壁紙が清潔感を漂わせている。シンガポールの女子大学生グレディさん(23)は昨年10月に友人4人と来日し、約1カ月滞在した。「この地域のことは来日するまで知らなかった。とにかく料金が安いから選んだ。危険だと思ったことは一度もない」と話す。

 山谷地区で唯一のショットバーを経営している中村祐次さん(44)は、「旅行者と地元住民との交流の場を作り出したい。外国人は山谷に来ても、地元の人と交流することがほとんどないのが惜しい」と言う。中村さんもバックパッカーとして世界中を旅した経験をもつ。ジャズが流れる店内では、地元住民らに交じって外国人旅行者のグループも目につくようになったという。

 帰山さんは「山谷に外国人が宿泊するようになって、この地域は変わりつつある。これまでの利用者だった労働者の高齢化が進む中で、旅館経営者はそれぞれに、新しいスタイルを模索している」と話す。


(了)


※この記事は、08年後期のJ-School講義「ニューズルームH」において、安永拓史先生の指導のもとに作成しました。